企画展(アーカイブ)
横浜が開港するまでの神奈川は、江戸内湾有数の漁村であると同時に、諸国の廻船が出入りし、諸品の商いが盛んに行われていた湊でもありました。これは江戸幕府による全国的な流通システムが出来上がり、その後、全国各地で庶民を中心とする消費経済が本格化したからです。江戸時代の横浜市域では、東海道のような「陸上の道」だけではなく、庶民を核とする大規模かつ広範な廻船による「海の道」も必要となってきたのです。愛知県知多半島を拠点とした「尾州廻船」が度々神奈川港に入港し、青木町の廻船問屋と取引を行っていたことも、近年の研究で明らかになってきました。
本展示では、江戸時代の神奈川湊と最も関係の深い「尾州廻船」に焦点を当て、青峯信仰や御船神事など廻船をめぐる信仰にもふれながら、上方~江戸に至る太平洋海運の一端を考えます。また、五大力船や押船の活動から江戸内湾の流通状況、さらに浦賀番所を介した幕府による流通統制なども考えてみます。とくに神奈川湊においては、青木町の廻船問屋や船宿に注目し、青木町に隣接する芝生村も紹介しながら、横浜市域に生きた庶民の生活を再考したいと思います。
なお当館のエントランス・ホールにおいて、100石積弁財船の断面を実物大で復元します。帆柱も設置し、帆桁を組んで帆を揚げる予定もあります。
展示構成
●展示構成●
江戸内湾における流通とその統制
(1)内湾の流通
(2)浦賀番所
神奈川湊の形成と台頭
(1)廻船問屋と船宿
(2)芝生村と八王子道・飯田道
全国流通の展開と神奈川湊
(1)尾州廻船
(2)尾州廻船住吉丸の活動
(3)神奈川湊と上方~江戸の航路
廻船の世界
(1)弁財船
(2)廻船の祭りと信仰
主な展示品
●主な展示物●
1/10の弁財船・五大力船・押送船の「船模型」
御船神事の「船模型」
五大力船・弁財船・海難に関する「船絵馬」や「護摩札」
「尾州廻船主の関係資料」をはじめとする弁財船に関する資料
航路図や絵画・古文書などの文献資料
開催概要
●主催●
横浜市歴史博物館
横浜市教育委員会
●観覧料●
区分 企画展 企画展・常設展セット
一 般 300円(240円) 600円(480円)
高校生・大学生 200円(160円) 300円(240円)
小学生・中学生 50円(40円) 100円(80円)
※( )内は団体(20名以上)の料金です。
関連事業
●講演会・御船神事の上演●
●第1回5月4日(日) 斎藤善之氏「全国流通の展開と神奈川湊」 ●第2回6月1日(日) 神野善治氏「船の祭りと信仰」 静岡県指定無形文化財・相良町大江八幡宮御船神事保存会「静岡県指定無形文化財・御船神事の上演」
展示図録
あり