企画展(アーカイブ)
粘土を焼くことによって生じる化学変化を応用した土器は、人類の最も重要な発明の一つといわれています。土器の出現は、長い人類の歴史における大きな画期であり、人々の生活を変化させた原動力にもなったと考えられています。
日本列島の中で土器が使われ始めたのは、およそ1万3千年前に遡ると言われています。これは現在までに知られている世界最古の土器文化の一つであると同時に、以後1万年余の長きにわたり続いた縄文土器・縄文文化の誕生を告げる、歴史上大変重要なできごとでした。
横浜市都筑区にあった花見山遺跡からは、この土器が出現したころの資料が多量に発見されました。復元土器32個体を含む、土器・石器、約3千点に及ぶこの資料は、その質・量ともに全国でも屈指のものと言えます。それは横浜市域の縄文時代の幕開けを告げるだけでなく、日本列島における土器出現の背景、縄文文化誕生の謎の解明に欠かすことの出来ない貴重な資料なのです。
特別展では、この花見山遺跡出土資料を中心に、北は青森から南は鹿児島まで、日本列島各地の土器出現期の資料、約2千5百点を展示する予定です。日本列島における土器出現の背景や、出現期の土器の製作技術、土器出現による人々の生活の変化を追いながら、縄文文化誕生の謎に迫りたいと考えています。
世界最古級、1万年余の時の重みを、是非肌で感じていただきたいと思います。
展示構成
Ⅰ花見山遺跡の発掘 Ⅱ花見山遺跡の出土遺物 Ⅲ気候の変化と土器出現の謎 Ⅳ出現期の土器の様々な顔 Ⅴ土器出現期ー遺跡の旅ー Ⅵ日本列島最古の土器を求めて Ⅶ東アジアの中の縄文文化のはじまり
主な展示品
横浜市花見山遺跡出土隆線文土器(横浜市指定文化財) 東京都前田耕地遺跡出土資料(重要文化財) 大和市月見野上野遺跡出土資料(神奈川県指定重要文化財) 青森県長者久保遺跡出土資料 山形県一ノ沢岩陰遺跡出土資料 新潟県室谷洞窟遺跡出土資料 新潟県本ノ木遺跡出土石槍(山内清子氏蔵) 長崎県泉福寺洞穴遺跡出土豆粒文土器(佐世保市教育委員会蔵) 鹿児島県掃除山遺跡出土資料
開催概要
●主催●横浜市歴史博物館 (財)横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センター 横浜市教育委員会 ●観覧料●
区 分 特別展 常設展セット
一 般 300円(240円) 600円(480円)
高校生・大学生 150円(120円) 300円(240円)
小学生・中学生 50円(40円) 100円(80円)
( )は団体(20名以上)の料金です。
関連事業
●講演会 第1回 10月20日(日) 小林達雄氏(國學院大學教授) 「縄文文化誕生の謎に迫る(仮題)」 第2回 11月3日(日) 加藤晋平氏(國學院大學教授) 「東アジアの中の縄文文化の始まり(仮題)」 ●研究講座 10月13日(日) 坂本彰氏((財)横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センター調査第一係副主任)「花見山遺跡を掘る」