横浜市歴史博物館

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企画展(アーカイブ)

特別展
中世の世界に誘う 仏像 院派仏師の系譜と造像

横浜市金沢区の称名寺に、鎌倉時代末に造立された木造の釈迦如来立像と金剛力士立像があります。これらの像は、体内に記されている墨書銘から、釈迦如来立像は徳治3年(1308)に大仏師院保以下院吉など17名の仏師によって、金剛力士立像は元亨3年(1323)に院興、院教等の仏師によって造られたことが知られています。
仏師院吉は、運慶や快慶ほど著名ではありませんが、足利尊氏、直義兄弟が後醍醐天皇の冥福を祈るために創建した、京都の天龍時の本尊釈迦三尊像を造立するなど、当時の第一級仏師になった人物です。
名前に「院」の字を冠したいわゆる「院派仏師」は、平安時代中期の定朝を祖とする日本の仏師系譜の中で、「慶」の字がつく慶派仏師、「円」の字がつく円派仏師とともに、由緒ある正系仏師の系譜であり、室町時代まで約130人の名が知られています。
この展覧会では、鎌倉時代末から南北朝時代に活躍した「院派仏師」の造立した仏像39体を展示し、その作風と造像技法を考察するとともに、文書や記録によって知ることができる彼等の事蹟から、そこにかかわった有力な公家、武士、僧侶との関係など、日本の中世の世界を展望してゆきます。

展示構成

Ⅰ称名寺釈迦如来立像、金剛力士像と関わった仏師の作例ー院保、院興ほかー Ⅱ称名寺釈迦如来立像以前の院派仏師の作例ー院豪、院命ほかー Ⅲ称名寺釈迦如来立像と同じ頃の院派仏師の作例ー院恵、院誉、院芸ー Ⅳ称名寺釈迦如来立像以後の院派仏師の活躍ー院吉、院広は、足利尊氏、直義の菩提寺である等持院仏師となる Ⅴ院吉、院広以後の院派仏師の作例ー院応、院什、院覚ー Ⅵ院吉、院広以後の名前はわからないが院派仏師の作例

主な展示品

称名寺釈迦如来立像(神奈川) 本山慈恩寺薬師如来及び両脇侍像(山形) 地蔵菩薩立像(京都市) 妙見菩薩立像(東京) 建長寺正統院高峰顕日坐像(神奈川) 聖衆来迎寺地蔵菩薩立像(滋賀) 棲雲寺普応国師坐像 ほか

開催概要

●主催●
横浜市歴史博物館
横浜市教育委員会

●後援●
文化庁
神奈川県教育委員会

●観覧料●

関連事業

■講演会■
●第一回 11月19日(日)清水 眞澄氏(成城大学教授)
「院派仏師の造像とその系譜-称名寺釈迦如来立像を中心として-」
●第二回 11月26日(日)山本 勉氏(東京国立博物館彫刻室長)
「鎌倉時代彫刻史と院派仏師」
●第三回 12月3日(日)薄井 和男氏(神奈川県立歴史博物館主任学芸員)
「鎌倉地方の彫刻と院派仏師-慶珊寺十一面観音半跏像を中心として-」

展示図録

あり

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