新しい質問
まな?かな?双子の土器
 私たちは、平成16年4月から8月まで調査していた保土ヶ谷区の明神台(みょうじんだい)A遺跡の弥生時代後期の竪穴住居跡から出た小型でキュートな可愛いらしい壺形土器です。大きさといい、色合いといい、そっくりでしょ。
2つの土器は住居跡の堆積土(覆っている土)の上の方から揃って出土しました。小型の土器は割れずに発見されることも多いのですが、これほど似通った土器が両方とも完全な形で出土するのはめったにないことです。右側の土器がやや大きめですが、形といい、作り方といい、土器の表面の調整の方法がまったくと言っていいほど一緒です。さらには、双子が同じDNAを持っているように、胎土(土器をつくっている粘土)の中に含まれている混和材(土器を焼く時に粘土の収縮を弱めて、ひびが入りにくくするために入れる材料)もまったく同じです。恐らく同じ人が同じ日に同じ材料で作ったものと思われます。やっぱり大きめの方がお姉(兄)さんかな?
 これらの土器は住居址の床面からかなり高い位置から見つかったことから、この住居址に直接関係のないものと思われます。弥生時代の後期末から古墳時代前期初頭にかけての土器は、土器の研究者によっても意見が違っており、その境をはっきりさせられていないのが現状です。ただ、この土器のプロポーションなどに古墳時代の土器の特徴がちょっぴりみえるので、この住居跡が廃絶したのちに近くの住居に住んでいた人がここに置いた(捨てた?)ものと考えられます。
 NHKの連続ドラマ「ふたりっ子」で一躍有名になった三倉茉奈・佳奈のように、私たちは明神台A遺跡の双子の土器として、仲良しでずーっと一緒に展示されることでしょう。
 これらの土器は、平成17年度に他の資料とともに整理報告作業を行なって、報告書を刊行する予定です。
明神台A遺跡のまな、かなです。よろしく!
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