新しい質問
カエルの顔をした土器の突起
 ボクは大高見遺跡(都筑区池辺町)から見つかった、勝坂(かつさか)式と呼ばれる縄文時代中期(今から約5,000年前)に作られた土器です。深鉢形土器と呼ばれる形をした土器の口縁部(こうえんぶ=口の付近)につけられていた突起の部分です。大きな目と大きな口、ちょっと口の先が尖っているから、トカゲのように見えるっていわれちゃうんだ、とほほ…。君はどっちに見えるかな?
 この時期の土器には大きな把手(とって)や小さな把手のほかにこうした突起がつけられているものが出土することがあります。指を入れたり縄を通したりするための穴が空いているものが多いのですが、中には文様を描いたりボクのように動物などを模した装飾的(そうしょくてき)なものも見つかります。
 動物を模した文様には、ヘビ、イノシシ、シカ、クマ、イヌなどが見られます。もちろんボクの仲間も描かれています。縄文時代に暮らしている人たちは、アニミズムといって 人間の霊魂と同じようなものが自然界にも存在していて、その精神的価値を認めてこれらを崇拝するという原始的な宗教観をもっていたと考えられています。そのため、こういった動物のほかにも太陽などを表わした装飾がつけられている土器が見つかります。また、このように姿をそっくりに表現したものだけではなく、文様(記号)化したものもあります。どちらかといえばこちらの方が多く確認されています。さらには、縄文土器につけられている縄目の文様についても、ヘビのウロコを表わしていると考える研究者もいます。
 子どもの頃に花や月などの絵を描いた時に目や鼻や口などを描き入れるのも、 私たちの心の奥に残っているそういった自然崇拝(しぜんすうはい)の名残りなのでしょうか。
さあ、君には何にみえるかな?
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