新しい話

金の入ったお宝土器?
 写真の土器は、中区元町貝塚から出土した土器の写真です。ようく見ると土器の中に金色のかたまりや金箔(きんぱく)のようなものが入っているように見えます。これはもしや、お宝の土器なのでは?
 この土器のかけらは、今から約5,000年ほど前の縄文時代中期に作られた土器の破片です。一言に縄文時代中期といっても約1,000年もの長い期間にわたっており、この土器は、縄文時代中期のなかでも古い段階にあたる時期の五領ヶ台式土器(ごりょうがだいしきどき)と呼ばれる土器型式(どきけいしき)の特徴をよく表しています。
 この頃の土器には、文様を付ける際に半裁竹管(はんさいちくかん=竹を半分に割った状態、ちくわの磯辺揚げを想像してください)という道具を用いることが流行していました。また、土器の胎土(たいど=土器を作るときの粘土)に混和材(こんわざい)として例の金箔?のようなものを大量に入れるのが流行っていました。
 混和剤とは、粘土の状態の土器を乾燥したりや焼く時に表面にひび割れが入らないようにするためにわざと粘土の中に入れらたもののことをいいます。実は土器にもっともひび割れが入り易いのは土器を焼く時です。ですから、粘土の収縮率を抑えたりするために粘土の中にそうした異物を入れているのです。
 土器の中には、混和剤としてさまざまな種類の鉱物などが含まれています。例えば石英や金雲母(きんうんも)がそうです。先ほどの金箔のようなものは、正体を明かすと金雲母だったのです。金雲母は鉱物の一種で、成分中にマグネシウムを多く含むものは黄色っぽい色をしています。また、鉄分が多いものは黒っぽくなり黒雲母に近くなります。雲母の仲間は紙のように一方向にはがれる性質がありますので、細かくするのには適した材料ともいえます。
 余談ですが、「キンキラ」という言葉は金雲母からできた修飾語だそうです。金雲母は、刃物を研ぐのに適した材料で、その仕上がり状態がとてもきれいなことからキンキラ(キン)と称したのが語源といわれています。

 
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