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指紋鑑定のはなし
  刑事ドラマなどで広く知れ渡っている指紋鑑定ってご存じですか?鑑識官が白い粉をボンボンみたいな道具をつかい事件現場に残されていた指紋を採取して、犯人を特定するあの指紋鑑定です。これは、同じ指紋を持つ人がいないことと、指紋は成長しても変わらず一生同じであるという特性を利用した科学的な捜査方法のひとつです。
 なんで指紋鑑定と埋蔵文化財が結びつくの?って、ちょっとお待ちください。実はこの指紋鑑識捜査が行なわれるようになったのには、こんなエピソードがあるんです。
 時は明治時代にさかのぼります。エドワード・シルベスター・モース(動物学者1838-1925)という人が1877(明治10)年に来日しました。この人が横浜から上京するために汽車に乗り、その車窓から大森貝塚を発見し、のちに発掘調査を行ないます。この大森貝塚から出土した遺物をみた、ヘンリー・フォールズ(宣教師・医師1843-1930)という人は、縄文式土器の表面に残されていた指紋に着目しました。またこれとともに、日本特有である拇印(ぼいん)の習慣に興味を持ち、これらのことから、1880(明治13)年にイギリスの科学雑誌「ネイチャー」に指紋についての論文を発表しました。時を同じくして指紋ついて着目していた他の学者もいますが、フォールズのものが科学的指紋法(指紋認証)の最初の論文となりました。その後、この指紋認証方式は警察に取り入れられ、日本でも1911(明治44)年から指紋法は警察で採用されています。
 全世界的に利用されている指紋認証のアイデアが、東京の遺跡から発見された土器に関係しているなんてすごいですよね。大森貝塚についての詳しいことは、遺跡があった東京都品川区にある大森貝塚遺跡庭園や品川歴史館を訪れるとよいでしょう。
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