ためになる?豆知識

おや? 新種のシメジ栽培でもしているのかな?

 暗く陽の光が入らないキノコ農場でなにやらシメジのようなものを栽培しているのでしょうか? いえいえ、これは遺跡から出土した遺物(いぶつ)の写真撮影を行なっている様子を写したものです。

 写真には写っていませんが、職員3人が真っ暗い部屋の一か所に集まり、まるで秘密の打合せをしているようなので写真を撮ってみました。ちなみに左側に写っている足はカメラマンの足です。


 遺跡から出土する遺物には土器や石器などさまざまなものがあり、その材質や大きさも区々(まちまち)です。ですから、その大きさや用途によって写真の撮影方法も変わってきます。大きな土器は、道具として使っていた時のように立てて撮影しますが、石器や小さな土器の破片の場合、俯瞰(ふかん)写真といって並べた状態のものを上から撮影します。なぜなら、道具が使われていた時の状態に立てるのが非常に難しいからです。


 また、写真のように大きさの異なる遺物を同じカットに収めるためには、少々気を使う必要があります。なぜなら、隣り合う遺物が邪魔をしてライトの光を遮って陰になってしまうことがあるからです。この写真の場合、すべての遺物を無反射ガラス(ライトの反射や写り込みを抑える特殊ガラス)の上に並べた時に、右側にある小さな石鏃(せきぞく)が写真左手前に置かれている大きな石の陰に入って暗くなってしまいます。こうした状況にならないように、練りゴムという道具を使って小さな石鏃に下駄を履かせ大きな石の陰にならないように嵩上(かさあ)げをしているわけです。見ようによってはガラスからにょきにょきとシメジが生えているように見えます。

 きれいなモデルさんの撮影とは違いますが、きちんとその表情(文様や特徴)を見せなければならないので、遺物の写真撮影もとても気を遣う作業なんです。発掘調査報告書をご覧になる時には、これも工夫して撮影しているのかななんて思いながらみるのも良いかもしれませんね。

 

なにやらあやしい気配が‥‥ シメジのようにも見えます
TOPへ戻る 一覧画面へ戻る 埋文ページホームへ