新しい質問
竪穴住居跡の埋まるスピードについて
以前から発掘調査を行っていて、竪穴住居跡などの遺構が廃棄(捨て置かれて)されてから、どれくらいの早さで埋まってしまうのか気になっていました。この疑問に一つのヒントが見つかりました。
それは、今年の9月に都筑区に存在する、茅ケ崎城址の発掘調査を行なっていた時のことです。この遺跡は、公園整備に伴って発掘調査が行なわれたのですが、2年前の平成15年度の夏にも同様の調査を行なっていました。
前回調査を行なった場所は、公園の中に入るための道路を造る場所でした。この部分は、近い将来地面を削って道路を造るため、調査終了後も深く危険な空堀だけを埋戻し、その他の部分について埋戻しは行なわず、遺構が検出されたままの状態となっていました。
今回、再び発掘調査が行われることになり、現地を見に行ったところ、竪穴住居跡だったところが1/3ほど埋まっている状態でした(写真ではよく分からないかもしれませんが)。また、住居跡の他にたくさんあったピット(柱穴)の後はほとんど埋まっている状態でした。わずか2年しか経過していないのにこんなに埋まっているなんて、ちょっとした感動すらわき上がってくるほどでした。去年は多くの台風が関東地方にも上陸し、たくさんの雨を降らせました。それらの雨で土砂が竪穴住居跡の中に流れ込み堆積したのでしょう。また、調査区の壁に露出していた土塁の盛り土(関東ローム層のブロック)も風化してたくさん崩落していました。
今回は、建物の柱や上もの(屋根に使っていたかやなど)などがない状態でこれだけ埋まっていたのですが、もし、それらがあったのなら、もっと埋まっていたかもしれません。人が入らない森や林の中では、
植物が生えたり枯れたりする(また、それらが腐ったり、分解していく)スピードが増すことが考えられるからです。
私たちが、竪穴住居跡のような遺構を調査するときに、その遺構がどのように埋まっていったのかをあぜ状の観察用のベルト(土の壁)を残して確認します。この土層だけを見ていると、ずいぶん長い時間をかけて埋まっていく感じがしていました。しかし、実際にはもっと早いスピードで埋まってしまうものだと分かりました。ただし、今回はこのような結果(2年で50cmの深さの1/3ほど埋まる)でしたが、気候や気象条件、その遺構が存在している場所など、さまざまな条件によってその結果は異なってしまうため、すべての遺跡について同じスピードで埋まるということではありません。

壁際を中心に埋まってしまった住居跡は荒れ放題

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