Q どうして土器の色が違うんですか?
 この間、横浜歴史博物館に飾ってある土器をずっと見ているうちに不思議に思ったのですが、土器には、茶色や黄色っぽいの、赤っぽい色などいろんな色がありました。どうして土器にはいろんな色のものがあるのですか?
A よく細かなところまで観察してましたね。そうです、土器にはさまざまな色があります。土器の色の違いには大きく分けると2つの理由があります。ひとつめは土器を焼く時の温度の差によって変わるからです。もうひとつは、できあがった土器に色をつけるものがあるからです。まず最初の方の説明をします。土器には、たき火のようなところで焼いたものと窯(かま)の中で焼いたものがあります。
 縄文時代は、野(素)焼きといってたき火のような形で土器を焼いていました。この場合、火の温度はだいたい600度位の熱さになります。弥生時代になると同じような方法に加えて、 たき火の上に土やわらなどで上を覆って焼く方法が用いられます。さらに古墳時代になると土器を焼く技術も進歩し、窯(かま)を用いて土器を焼くことも行なわれます。窯を使って土器を焼く時の温度はだいたい1,000度位の熱さになります。低い温度で土器を焼いた場合は、表面が茶色っぽくなるのに対して、窯を使って高い温度で焼いた場合には灰色っぽい色になります。
 また、土器を作るために使った粘土の性質によっても色が変化します。また、焼く時のむら(土器にあたる温度が均一でない様子)がある場合にはひとつの土器でさまざまな色合いをしていることもあります。弥生時代になると黒っぽい斑文(まだらについたこげのようなあと)がついているものがあります。これは焼く時にわざとむらを作ることで土器にアクセント(強調)をつけているのです。これらの他にも土器の生地(粘土)に含まれている物質によっても色調が異なることがあります。
 次にできあがった土器に色をつける場合ですが、赤い色の顔料(たとえば、ベンガラや水銀朱)、うるしなどを土器の表面に塗って色をつけています。こちらは、普通の土器というよりは、貴重なものを入れたり特別な場合に使うものなどに行なわれていたようです。縄文土器や弥生土器は、今では表面が痛んで昔のままの色合いは分かりませんが、当時は見事な色をしていたのでしょうね。
 ちなみに、素焼きの土器と窯を使って焼いたものには次のような種類の土器があります。
  素焼き:縄文土器・弥生土器・土師器・かわらけ
   窯 :須恵器・陶器・磁器
いろいろな色がありますね、皆さんも博物館などでよーく観察してみましょう。
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